夜型の子どもほどスマホ・タブレット依存になりやすい?イランの子どもたちの調査から見えたこと
📄 The relationship of chronotype and sleep habits with smartphone and tablet addiction among children: A cross-sectional study.
✍️ Mokhtarpour, K, Mohtashami, T, Garmabi, B
📅 論文公開: 2026年1月
3つのポイント
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4〜11歳の子ども213名を対象にした調査で、夜型の子どもほどスマホ・タブレットへの依存傾向が強いことが示されました。
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夜型傾向(M/Eスコア)が1単位上がるごとに、依存スコアは平均0.75点高くなるという関連が報告されています。
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横断研究のため因果は断定できませんが、睡眠習慣を整える支援がデジタル依存対策の一助になる可能性があります。
論文プロフィール
- 著者: Mokhtarpour K., Mohtashami T., Garmabi B.
- 発表年: 2026 年(Chronobiology International 誌掲載)
- 調査対象: イランの 4〜11 歳の子ども 213 名
- 調査内容: クロノタイプ(朝型・夜型の傾向)、睡眠習慣、スマートフォン・タブレットの依存度を、それぞれ妥当性が確認されたペルシャ語版の質問紙で評価し、関連性を分析しました。
エディターズ・ノート
子どもがスマホやタブレットを手放さない、寝る時間がどんどん遅くなる――そんな悩みを抱えるご家庭は少なくないと思います。本研究は、その背景に「もともとの体内時計の傾向(クロノタイプ)」が関わっている可能性を示した、イラン初の試みです。デジタル機器との付き合い方を考えるうえで、子ども一人ひとりの生活リズムに目を向ける視点を提供してくれます。
実験デザイン
本研究は コホート研究 コホート研究 特定の集団を長期間追跡し、要因と疾患発症の関連を調べる観察研究デザイン。 ではなく、ある一時点の状態を捉える「横断研究」です。213 名の子どもの保護者に対し、以下の 3 つの質問紙を用いて評価が行われました。
- CCTQ(Children’s Chronotype Questionnaire): 朝型か夜型か、子どもの傾向を測る指標
- CSHQ(Children’s Sleep Habits Questionnaire): 就寝時刻のばらつき・夜間覚醒など、睡眠習慣の問題点を評価
- Smartphone and Tablet Addiction Questionnaire: デジタル機器への依存度
分析にはスピアマン相関、ステップワイズ回帰、クラスカル・ウォリス検定が用いられました。結果として、夜型傾向を示す M/E スコアが 1 単位上がるごとに、依存スコアが平均 0.75 点(β = 0.75, SE = 0.17)上昇するという関連が確認されています。
| 項目 | 依存・睡眠問題の相対的な強さ |
|---|---|
| 朝型 | 1 |
| 中間型 | 2 |
| 夜型 | 3 |
🔍 クロノタイプとは何か
クロノタイプとは、生まれつき備わっている「朝型・夜型」の体内時計の傾向のことです。大人で言えば「朝スッキリ起きられて夜は早く眠くなる人(朝型)」と「夜遅くまで元気で朝が苦手な人(夜型)」の違いが分かりやすい例ですが、こうした傾向は子どもの頃から個人差があります。
- 主に遺伝の影響を受けますが、生活環境や光の浴び方でもある程度変わります。
- 子どもは一般に朝型寄りですが、思春期に近づくと夜型へ移行しやすくなります。
🔍 この研究で気をつけて読みたいポイント
- 横断研究の限界: ある一時点を切り取った調査のため、「夜型だからスマホ依存になった」のか「スマホ使用で夜型化した」のかは判別できません。
- 対象が限定的: イランの 213 名の子どもが対象であり、文化や生活様式が異なる国・地域にそのまま当てはまるとは限りません。
- 保護者の主観的評価: 質問紙は保護者が回答するため、報告のバイアスが含まれる可能性があります。
日常への活かし方
この研究を踏まえると、子どものデジタル機器との付き合い方を考えるとき、「使用時間を制限する」ことだけでなく、子ども自身の睡眠リズムを整えることもセットで考えるとよいかもしれません。
すぐに取り入れられる工夫として、以下のようなものが挙げられます。
- 就寝前 1 時間はスクリーンを離れる: 寝る前のブルーライトは入眠を妨げ、夜型化を促進する可能性が指摘されています。寝室にはタブレットやスマホを持ち込まない、というルールも有効です。
- 朝の光を浴びる時間を作る: 起きてすぐカーテンを開ける、朝食を窓際でとるなど、朝に光を浴びる習慣は体内時計を朝型側に整える助けになります。
- 就寝・起床時刻を平日と休日でそろえる: 休日の「寝だめ」は体内時計を後ろにずらしやすく、結果として夜型傾向を強める可能性があります。
ただし、本研究は 4〜11 歳のイランの子どもを対象としたものです。「夜型=悪い」と決めつけるのではなく、夜型傾向のあるお子さんには睡眠の質を守る環境作りを意識する、という受け止め方が現実的でしょう。また、この結果がすべての子どもや大人に当てはまるとは限りません。
読後感
子どものスマホ・タブレット依存は、しばしば「意志の問題」「親のしつけの問題」として語られがちです。しかし本研究は、そこに「もともとの体内時計の個性」という、本人や家族のせいだけにできない背景があることを教えてくれます。
あなたのお子さんは、朝型でしょうか、それとも夜型でしょうか。そしてその生活リズムは、デジタル機器との距離の取り方に、どんな影響を及ぼしているでしょうか。